どきどき


夜、地元の薄暗い道をチャリでゆっくり走ってたら、50mぐらい先に黒いカタマリを発見した。
しかもそのカタマリは、何やら細かく動いてる。


「ひ、人が倒れてるのか?」


そのカタマリを凝視しながらだったので、ペダルをこぐ足も徐々にゆっくりになる。
そして、突然妙な正義感も芽生え始める。


もし、人間だったら救急車を呼ぼう。
いつもは見て見ぬフリをしがちだけど、今俺がそんなことをしたら誰がこの人を助けるのか。
コイツの命は、俺の腕にかかっている!


20m手前ぐらいでチャリを停め、そのカタマリに近づく。
心臓バクバク。


すると突然、「ワン!」という太い鳴き声。


えぇ、犬でした。
黒くてでっかい犬が、標識につながれてました。


飼い主はどこにいたのかわからないけど、俺のこの正義感はどうすればいいんだ。
死ね。
飼い主は死ね。
犬も死ね。